安蘇山塊 陣地 2010年1月10日


 安蘇山塊の地形図に山名が記載された山は全て登っているので何年も訪れることなく地図も見ていなかったのだが、最近ネットで地形図を確認したらいくつか新しい山が増えているではないか。そのうち、氷室山から南に派生する尾根上の9??m三角点峰には「陣地」という山名らしからぬ名前が記載され、私にとって未だ踏峰のピークであった。足が確保できれば氷室山から尾根末端まで縦走したいところだが、田舎で交通の便が悪いのでピストンするか周遊コースを組まないとマイカーでは苦しいエリアだ。今回は非効率的だが陣地のみ登ることにした。稜線西側の作原側からだと林道が高いところまで上がっているのだが、ゲートの有無や路面状況が不明なので安全策で秋山川沿いの林道から登ることにした。こちらの道はゲート無しの基幹林道であり、積雪やがけ崩れが無ければ年中通行可能だ。

 佐野藤岡ICで降りて産業道路と呼ばれる県道を北上、国道293号線に出て葛生市街地に入り、案内標識に従って秋山川沿いを北上していく。やがて山間地となり道幅が狭まるが夜中で対向車の接近が容易に分かるので逆に安心して走れる。現実には対向車は皆無だったが。車の代わりに立派な角を持った雄の鹿を2頭見かけた。私が学生時代にはこんなところに鹿はいなかったと思うのだが(せいぜい足尾まで)、かなり生息範囲を広げたらしい。

 最後の集落である木浦原を過ぎると無人区間が始まり、そろそろ取り付きの尾根が近くなってくるだろうと注意して走行する。今回狙うのは北東尾根で、末端には林道が右岸から左岸へ移る橋があり、川下から遡上していくと右岸側の林道は区間が短いので判別しやすい。しかも直進方向に細い林道が分岐しているので見落としは無いだろう。無事にその橋と林道分岐を発見し、近くの路肩の駐車余地に車を置いて寝た。

尾根取り付きの林道入口。車止めあり 尾根に絡んでジグザグに林道がある

 翌朝、それほど急ぐ山の規模でもないのでのんびり起きて朝飯を食い、7時過ぎに出発。周囲は杉の植林帯で花粉が飛ぶ時期には近づけない植生だ。目的の北東尾根も一面の杉の植林帯で、その中に地形図に記載されていない林道がジグザグに上がっているが、この林道入口には施錠されたワイアーロープの車止めがかかっているので一般車は入れない。

ショートカットで斜面を登る 何の穴だろう?

 最初だけ林道を歩き、ジグザグがもったいないのでショートカットで尾根を正確に上がっていく。昼なお暗い植林帯中には縦横無尽に鹿道ができており、思ったよりも鹿の頭数は多いようだ。これだったら鹿の角が落ちていても不思議ではなかろう。糞も多数見かけた。

尾根に出る 標高680m地点 山ノ神

 標高570mくらいで進路を右にとって明瞭な尾根上に出た。帰りに尾根を下りすぎないよう目印を残した。この尾根は東側は杉の植林、西側は自然林となっていて、目印を残さなくても境目を歩けばいいので楽だ。標高680m地点で尾根が右に曲がり小さなピークを成し、てっぺんには小さな祠が祭られていた。ということは昔の人はここを歩いたのだろう。祠の先に小鞍部があり、南斜面に明瞭な道が等高線に沿うように付けられていたが、どこから登ってきてどこに向かう道なのか不明なので、これは無視して尾根を忠実に登る。

落葉して明るい尾根を行く 鹿避けのネットが巻かれた檜

 落葉して明るい自然林を登ると今度は尾根右側が檜の植林帯となるが、鹿の食害がひどいと見えて幹には樹脂製のネットが巻かれていた。今のような冬場は草が枯れてしまうので木の皮を食ってしまうのだろう。植林と自然林の境界となっている尾根を登って行き氷室山から下る主稜線が近づくと細く矮小な潅木が増えてきて歩きにくくなり、尾根を外して稜線東斜面を登るようにする。

左から太い尾根と合流 陣地山頂
久しぶりの3D標識。地元では「陣ノ手」らしい 布KUMOがあった

 やがて左手から太い尾根が合流、 帰りにこちらに吸い込まれないよう目印を付けた。太い尾根のほうには目印が点在していたので、こちらから登る人もいるようだ。尾根合流から先は何となく踏跡があり、緩やかに登ると3D標識がかかった陣地山頂に到着した。地形図では山名は「陣地」だが3D標識は「陣ノ手」で、たぶんここが地形図に掲載される前に取り付けたものだろう。鹿を除く狩猟禁止看板があり、その裏には紫色の布KUMOがぶら下がっていた。まだ新しくKUMO氏も最近登ったようだ。そのうちDJFのピンクリボンがぶら下がるかもしれない。

途中から見た陣地山頂 男体山はかろうじて雪雲の外側

 下山も同じ尾根で下った。


所要時間 7:17 尾根取り付き(林道入口)−−8:01 山の神−−8:30 陣地 8:34−−8:50 山の神−−9:11 尾根取り付き

 

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